実家の片付けは簡単ではない ~親とモメない話し方~
親とモメない話し方 保坂隆
わたしが経験したことのない老いを理解するための一冊です。第2章が「実家の片付け」についての章ですので、これについてまとめておきます。
現在の60〜70歳世代は、物を大切にする時代と消費が美徳だった時代の両方を生きているので、物を捨てるという行為に慣れていないのです。
モノをたくさん買うし、捨てることもできないとなれば、溜まる一方ですね。うちの実家も確かに物が多かったですが、足の踏み場がないということはありませんでした。物が多いなりに整理整頓されていました。明らかに使えないものまでとっておかれるとイライラしたかもしれません。
「片付けない」のではなく「片付けられない」
家中があまりにも雑然としており、どこから手をつければいいのかわからないといった状態ですね。「捨てるの手伝うよ」と言って一緒に作業するものの、結局、どれも捨てられないというのもよくあるパターンです。そんなときは、捨てるのではなく、整理整頓するだけのほうがいいのかもしれませんね。
そもそも日本の家は物が多すぎる
以前に地球家族という本を読みました。世界の一般家庭の暮らしを比較するといった趣向の本です。日本は圧倒的に物がが多かったのですが、「まあ、こんなものだろうな。」と感じたのも事実です。
片付けを通して親子の絆を深める。
これは現実には難しいですね。間違いなく喧嘩になります。モノに対する価値観が違いますからね。人のモノは全てゴミに見えてしまいます。本書では「モノに対する思い出を語り合うことで親子の絆を深めましょう」とあります。そんなことをやっていたら、いつまで経っても片付けは終わりません。思い出こそが片付けが進まないワナです。
片付けしなければならないときがチャンス
引越しやリフォームがモノを捨てるチャンスなのだそうです。でも、残念ながらそうもいかないと思います。捨てられない人は大量のモノが収納できる家に引っ越そうとします。リフォームであれば、収納庫や収納棚を作ろうとします。リフォームを機にモノが増えるのが現実だろうと思います。
強引に進めると、ゴミは減っても悔いが残る
これも捨て作業にはよくあることかもしれませんね。自分のモノだってそうですね。人に捨てられたらなお悔いるでしょうし、未練がましく文句を言われるでしょう。だから、捨てるには本人の許可を得て都度確認する必要があります。片付ける家の様子を全てVTRに撮り、それを療養施設にいる親に見せて確認するという事例が紹介されていました。ひとつのアイデアかもしれませんが、終わりの見えない作業になりそうですね。
物とスッキリ別れる秘訣
季節が大切だといいます。夏の暑い日や冬の凍えるような日は避けるべきだと。言いたいことはわかりますが、そう都合よくいかないでしょうね。予定が空いた日が猛暑日だから今日は片付けしないなんていってると、いつまで経っても終わりません。
写真の捨て方についても書かれています。
- 家族の歴史を次の世代に伝えるもの
- 何度でも繰り返し見たいもの
- これだけはどうしても残したくて譲れないもの
これらが写真を残す際の条件だといいます。そう簡単には割り切れないんですよね。そこには家族や友達が写っています。そんな人の気配を感じるものをゴミとして捨てるには心理的に躊躇いがあるからです。人形を捨てられないのと一緒です。サクサクものが捨てられるわたしでさえ、人形を処分するのに近所の神社の供養祭に持って行ったくらいですから。
その他の章
- 相続・借金…お金のトラブルを未然に防ぐ
- 同居・介護。…しぶる親を説得する方法
- 言葉で病気の親を支えるヒント
親といえど、世代間のギャップを埋めるのは難しいですね。