「東京難民」を読んでの感想
久しぶりに一気に読めた本だったので感想を書いておきます。ストーリーを簡単に書くと、普通の大学生が、いろいろあってホームレスになるというお話です。人は誰でもあっという間に貧困層になれるんだよっていうのがわかりやすく書いてあります。
まあ、ものの見事に転落していきます。ことの発端は両親の夜逃げ。ある日突然、両親からの仕送りが途絶え、両親は姿をくらまします。大学を辞めるはめになり、あやしいバイトに手を出し始める。そこからの借金生活。
家賃を滞納してアパートを追い出され、友達のところへ転がり込むも、次第に気まずい関係になります。
そのうちネカフェ難民になり、警察に職務質問を受け、留置所に放り込まれることになる。人は見た目で判断されるのです。
次に選んだ仕事がホスト。まあ、なりゆきでホストになったわけですが、底辺のホストの生活は厳しいようで、金が貯まらないどころか、客が飛んで借金を負う羽目になります。
飛んだ客をいったんは捕まえますが、人のよさ(?)から風呂に沈める(ソープに売るってことです)こともできず、自身が中国に売り飛ばされそうになります。
なんとか難を逃れるも日雇い労働は露骨にピンハネをされて手元に金など残らない。最後にはホームレスになります。
転落するのはあっという間。そこから登っていく至難の業。「今の日本、仕事なんていくらでもあるじゃん」というのが僕の考えでしたが、保証人もなく、住所も持っていないとなると、普通に仕事をして普通の暮らしをするっていうのは難しいのかもしれないと思うようになりました。
正直、この主人公にはイライラさせられることが多いです。少し金が入ったからっていって、すぐに飲みにいくんじゃねぇよ。飲まないとやってられないっていう言い訳やめろよ。金ないのに煙草吸ってんじゃねぇよ、とね。
負のスパイラルっていうのは確かにあります。ダメなときはなにをやってもダメ。弱気になるから、考えがプラスの方向にいかない。それを変えられるのは自分だけっていうのもわかっているけど、どうしようもない。
上を見ればきりがないっていいすけど、下を見てその底が見えないっていうのもまた恐ろしく、そんな落とし穴が今の日本にはあるんだなぁって思いました。
550ページくらいありますけど、あっという間に読めちゃいます。