「あなたの人生、片付けます」は片付け本としても参考になります
ゴミ屋敷の住人が身内に掃除コンサルタントを依頼され、部屋掃除とともに人生の片づけまでをさせられるというお話。四つのお話が収録されているのですが、そのどれもがあるあるなので、読んでいて楽しい。
現実にはそんなにうまくはいかないよと思わなくもないですが、最終的にはどのお話もきちんと片付くので、読み終えたあとには気持ちがスッキリします。
- ケース1 清算
- ケース2 木魚堂
- ケース3 豪商の館
- ケース4 きれいすぎる部屋
ケース1はマンションで一人暮らしをする女性の話。見かねた母親が掃除コンサルタントに依頼。きれいに人生までを片付けます。ゴミと決別すれば、人生の足かせになっていたものまでも決別できる。
周りに振り回されず、自分が理想とする女性を目指して生きてゆく。ゴミに埋もれて生きていく人生が素晴らしいわけないじゃない?
ケース2は妻を亡くした男性の話。昔ながらの頑固おやじは自分で茶碗を洗うこともない。スーパーに買い出しにいくこともない。
それを支えるのはわが娘。自分自身がお荷物になっていることなど気づくことなく。ほんの少し本音を吐き出せば、人生も軽くなります。
ケース3は田舎の大きな家に住む女性の話。整理整頓は行き届いている。捨てるものなどなにもない。使えるものばかりなんだし。
娘は、いらないものを片付けろっていうけど、きれいに片付いているじゃない。使わないものは全て押し入れにしまい込んであるんだし。買い替え前の家電製品は全て蔵の中にしまってあるんだし。
家族のためにとため込んであったものが、実は家族を寄せ付けない原因でもあったとは。
ケース4は息子を事故で亡くした母親の話。何年たっても立ち直れず、家はゴミ屋敷状態。一緒に暮らしている娘ふたりよりも亡くなった息子のほうが大事なのか。今の生活には目もくれようとしない。
それに気づかせてくれたのは、同じ経験をした母親たち。前向きに生きることでゴミ屋敷からも解放されます。
僕なんかだとケース3が大いに共感できました。捨てられない母親って多いんだ。使えるものと使わないものの違いがわからない人って多いんだ。
掃除や捨て作業が好きな人だったら面白く読める一冊だと思います。