ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

「雪之丞変化」「男の花道」「艶姿澤瀉祭」博多座にて

市川猿之助

2017年2月の博多座は猿之助を中心とした花形歌舞伎。昼の部の「男の花道」と夜の部の「雪之丞変化」は過去に長谷川一夫主演で映画化や舞台化されたものらしい。どちらも歌舞伎として上演されるのは珍しい。ノリが大衆演劇よりだしね。

 

雪之丞変化

簡単に言えば両親を殺された復讐の話。中村雪之丞は人気の女方。幼い頃に両親を殺される。大人になった雪之丞は復讐相手に出会い、その復讐を果たす。笑也さんが雪太郎の母、ゆきを演じるのだが冒頭に殺されてからは出番なし。三代目猿之助の時はヒロイン的存在だったので出番の少なさが少し寂しい。

 

軽業のお初を演じたのは中村米吉。お初に春猿がぴったりなのだが、彼は新派に行ってしまいもういない。その役を見事に米吉さんが演じていた。とてもよかったと思う。春猿のあとはこの人で決まり。今後もそうして欲しい。米吉は中村歌六の息子さんで、歌六さんも以前には澤瀉屋の面々と共演することが多かった。スーパー歌舞伎で演じた孫権なんて最高にかっこよかった。

 

猿之助らしく宙乗りあり、早変わりありとケレンも楽しい。しかし、早変わりは少しやり過ぎのような気も。クルクルと回りすぎて、なにが凄いんだかわらなくなる。四代目猿之助は少しやり過ぎてしまうところがあるように思う。エコーや音の演出。ケレンの多用。心情をわかりやすく見た目にしてしまうと安っぽく感じる。

 

男の花道

僕はこの演目を見るのは二回目。前回は明治座でみた。そのとき医者を演じたのは中車。彼は歌舞伎役者としてその役を必至に演じていた。そう、必至だった。今回、その役を演じたのは平岳大。彼は歌舞伎役者ではないから普通に演じていた。無理がなかった。歌舞伎役者ではない役者が歌舞伎の舞台に立つことはよくある。無理をして歌舞伎に寄せなくてもいい。今回の舞台をみてそう思った。

 

艶姿澤瀉祭

真剣での居合にはじまる。続いて連獅子を想像させる演出。続く踊りには派手な音楽に電飾でキラキラ。四代目猿之助はこういうのがホント好きだなぁ。僕は残念ながらあまり好きではない。

 

この艶姿澤瀉祭は昔行われた舞踊ショーが原点にあるらしい。長谷川一夫、当代の坂田藤十郎、朝丘雪路など。このことは市川猿三郎さんのブログに書かれている。猿三郎さんのブログでは昔の話なども知ることができて面白い。ちなみにこの方、珍しく女形で踊っていた。このこともブログで知っていたので、舞台を拝見してニヤリとしてしまった。ブログを読んでいなかったら気が付かなかったかもしれない。

 

この艶姿澤瀉祭は今回の博多が初公演らしい。今後、再演されることがあるのか。最初で最後だとすれば僕は貴重な体験をしたのだと思う。