ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛〈やじきた〉」の感想

東海道中膝栗毛

東海道中膝栗毛とは十返舎一九の代表作のひとつ。2016年の夏に歌舞伎上演されたものが、2017年にシネマ歌舞伎として観られることになった。僕は昨年の舞台も生で観ている。シネマ歌舞伎で観てもその面白さはじゅうぶん。最近のシネマ歌舞伎はカメラワークも凝っているので迫力もある。

 

 

東海道中膝栗毛をベースにしているが行きつく先はラスベガス。ラスベガスでは体調不良で歌舞伎を演じられなくなった染五郎、猿之助に代わり、弥次さん喜多さんが獅子王を演じる。獅子王は同年に実際に染五郎がラスベガスで演じており、そのパロディとなっている。

 

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見所は満載でドリフのコントをリスペクトした場面はあるし、宿に宿泊する場面では、当時の東京都知事の出張経費問題を皮肉った場面も登場する。そういえばそんな問題もあったよね。すっかり忘れていたが。当事者にとってはいい迷惑だろうと思う。

 

市川弘太郎が演じるのは文春(ふみはる)という名の瓦版。彼はスクープを狙って弥次さん喜多さんを追いかける。歌舞伎というのは江戸時代のワイドショー的な役割もあったらしい。昔から人は変わらず人の噂が好きなんだね。

 

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そしてなんといっても團子ちゃん。中車(香川照之)のご子息です。うまいなぁ、歌舞伎が。金太郎くん(染五郎のご子息)と旅を供にするんだけど、その差は歴然、というと金太郎くんに申し訳ないね。金太郎くんのほうが普通なんだと思う。

 

彼くらいの年齢で人前にたって演技をするなんて、それだけでも大変なこと。團子ちゃんがね、堂々とし過ぎなんだと思う。

 

中車はなんとしても自分の息子を歌舞伎役者にしたかったんだろうね。結果、本人も楽しそうだし、早く立派な名前を継いでほしいと思う。

 

あっという間の90分で、できればノーカットでシネマ化して欲しかったと思うくらい。シネマ歌舞伎の上演期間は短いですから、興味のある方はお早めにどうぞ。

 

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