ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

インプラント手術の様子の全記録(費用、治療期間、手術後の様子について)

インプラント

2015年に約半年間、歯のインプラント治療を行いました。その様子についてまとめた記事がこちらになります。僕が治療したのは、右下の奥歯です。

 

 

インプラントをすることになったきっかけ

インプラント治療の数ヶ月前に右下奥の親知らずを抜歯しました。親知らずは虫歯になっており抜いたほうがよいと判断されたからです。抜いてしばらくすると問題の右下の奥歯(7番)が痛みはじめました。痛くなると歯医者に行きロキソニンをもらう。奥歯のかぶせ物の調整をする。そんなことを約一年間繰り返していました。

 

しかし、そんな誤魔化しはいつまでも通用しません。ある日、夜も眠れないくらいに歯が痛み出したのです。通っている歯医者に行きます。

 

「奥歯も抜きましょうか?」

 

突然の抜歯のススメに戸惑いました。さすがに奥歯を抜くのは抵抗があります。抜いた後はどうするのかと問えば、そのままでも問題はないとの返答。奥歯なしでどうやって噛めばいいの?長年通っていたこの病院に不信感を覚え、別の病院を探すことにしました。

 

セカンドオピニオンはインプラントも視野に入れて

セカンドオピニオンとは今かかっている医師以外の医師にも意見を聞くというものです。いわば第二の意見。ひとりの医師の意見だけが正しいとは限りません。

 

奥歯を抜くとしてもそのまま放置はしたくない。従来からあるブリッジという方法以外にもインプラントという方法もある。名前は聞いたことがありますが僕にとっては未知の世界。不安しかない。しかし、セカンドオピニオンはインプラントも視野に入れて歯医者を選びました。インプラントを行っている歯医者は限られているのです。

 

セカンドオピニオンでの診断結果 

結論から言えば、やはり奥歯を残すことは難しいといわれました。親知らずを抜いたために7番の歯と歯茎の隙間が大きくなったってしまい、菌が侵入し蝕まれているのだろうということでした。

 

抜歯後の選択肢は3つ

奥歯を抜いたあとの選択肢としては以下の三つです。

  

  1. そのままにしておく
  2. ブリッジにする
  3. インプラントにする

 

1.のそのままにしておくとなると奥歯でモノが噛めません。また、噛み合う歯がないと上の歯が落ちてくるらしいのです。右だけ奥歯がなく、左右のバランスが悪いと体調不良の原因にもなるらしく、これは選択肢としてはありません。

 

2.のブリッジにすると保険が適用されるので安くすみますし、治療期間も比較的短くてすむようです。ただ、ブリッジにするということは手前の歯を削らないといけません。健康な歯を削るのは抵抗があります。削った歯を支点にすることになるので、その歯に負担がかかりやすくもなります。

 

悩んだ末、僕が選んだのは3.のインプラントにするです。ブリッジと違い健康な歯を犠牲にすることはなさそうです。念のため、どのようなデメリットがあるのか?調べてみました。

 

インプラントのデメリット

  1. 治療期間が半年以上と長くなること。
  2. 外科手術になること。
  3. 保険が使えないため高額になること。

 

これから先の長い人生を考えると半年の治療期間はどうということはありません。外科手術といえど、それ自体は10分程度で終わるとのこと。インプラント事故なども考えられますが、それはインプラントに限ったことではありません。

 

僕にとってのいちばんのネックは治療費です。見積もってもらうと、この病院では40万円ということでした。保険が利かないのです。また、治療後のメンテナンスも保険が適用されなくなります。1回のメンテナンスで五千円、それを三カ月ごとに行うのでよう勧められました。年二万円の出費です。

 

これらのことを考慮しインプラントにすることを決断しました。

 

インプラント治療前日までにすること

インプラントをする前に虫歯になっている奥歯の抜歯をしなければいけません。抜歯後の傷口が落ち着くまで約一ヶ月。わたしの場合は傷口が化膿していたこともあってすぐには手術はできませんでした。インプラント治療の三日前からはジスロマックという抗生剤を服用します。

 

インプラント治療当日

そして、いよいよ治療当日。今回はインプラントの土台作りのみです。まずは口の中の掃除。歯石を取ってもらい、歯を磨いてもらいます。それが終わるとすぐに手術室へ移動します。椅子に座り脈拍を測ります。左手の指に脈を図る機械を装着します。手術中はずっと脈拍をチェックするようです。右手にはブザーを持たされます。痛かったり、何かあったらブザーを押してくださいとのこと。もちろん事前に局部麻酔はしているので痛みは感じないはずです。そして、いよいよ治療開始です。

 

口を大きく開けます。タオルを被せられているので、様子は全くわかりません。なにやらゴリゴリと音が聞こえます。抜歯したあとの歯茎部分を切り開いているようです。「キュイーーン!ガリガリガリ!!」とものすごい音です。

 

ドリルのようなもので穴を開けます。次はインプラントの土台の部分を埋め込んでいるのでしょう。ドライバーでネジを差し込むように、なにかをクルクルと回しています。まるで日曜大工のようです。最後に縫合して終わり。その間約10分。出血もほとんどないようです。

 

治療前の準備等を含めてもトータルで1時間程度でした。不安が大きかった分、あっけなく終了。

 

インプラント治療後の様子

手術した翌日から1週間くらいは腫れました。とはいっても、気にして見れば「腫れてるな」とわかる程度です。親知らずを抜いた時は、翌日まで口の中が真っ赤になるくらい出血しましたが、今回はそんなことはありませんでした。食事は翌日から普通にしていました。

 

費用はいくから?

他に気になるといえば費用面ですね。

 

  •  インプラント手術料 ¥100,000
  •  インプラント材料費 ¥200,000
  •  上部構造材料費(ハイブリッドクラウン) ¥80,000
  •  消費税 ¥30,400
  •  合計 ¥410,400

 

上記費用には10年間保証がついています。トラブルがあった場合は無償で対応してもらえるそうです。定期的なメンテナンスについては、別途費用がかかります。しかも保険が効かなくなります。1回5,000円を年4回=約20,000円/年が別途必要です。でも、確定申告をすれば、費用の一部は戻ってくるようです。領収書は捨てずにとっておきましょう。

 

材料の選択はメンテナンスも考慮して

材料費については、もっと安いところもあるはずですが、これはケチらない方がよさそうです。日本でメジャーではない材料にしてしまうと他の病院でメンテナンスができない場合もあるとか。震災後にインプラント難民と呼ばれる人が沢山いらっしゃったようです。後々のことを考えると、病院を選ばずメンテナンスが可能な材料を選択したほうがよさそうです。

 

最終的には信頼できるかどうか?

とはいえ、今回使用した材料が本当にメジャーなものか?どこの病院でもメンテナンス可能か?なんて判断は素人にはできませんから、結局はその病院が信頼できるかどうか?でしょうね。お世話になっている病院はしっかりと時間をかけて丁寧に説明をしてくれたので、ここの先生にお任せすることにしました。信用第一ですね。

 

インプラント治療から一ヶ月経過したときの様子

意外にも違和感等はありません。食事のときだけ反対側の歯で噛むようにしていますが、それ以外は不自由なし。歯磨きのときは細心の注意を払います。口を大きくあけ鏡を見ながら、その部分に触れないように注意します。

 

他に注意してることといえば振動でしょうか。不必要に振動をあえないようにしています。今の時期はインプラントの土台の部分と自分の骨がくっつくのをひたすら待っている時。だから、その妨げになることはなるべくしない方がいいかなぁと。

 

人によっては、インプラントの土台と骨がくっつかないこともあるようです。タバコ吸う人はそういうリスクが高いらしいです。その場合は、手術をやり直して、また三カ月待ちだそうです。たとえ再治療となっても追加料金を取られることはないらしいですが、これは病院によっても違うのでしょう。

 

別の歯の治療で通院していた理由

三ヶ月間は基本的に放置で構いません。しかし、私はこの間もずっと通院していました。別の歯の治療のためにです。インプラント治療は高額なので、確定申告をすればいくらかは返ってきます。当然、普通の虫歯の治療費も確定申告できるので、可能であれば同じ年にインプラント手術も虫歯治療もまとめて行ったほうがお徳です。

 

ネジ山をくっ付ける手術

インプラントの土台作りの次はネジ山をくっ付ける治療です。説明が難しいので概要をイラストにしてみました。余計にわかりにくいかも。要した時間は麻酔が効くまでの待ち時間も合わせて30分程度。手術自体は5分でした。

 

インプラント

 

覆われた歯肉を切り開く

三ヶ月前に埋め込んだ土台の部分はすっかり歯肉で覆われますので、まずはメスで切開します。手術中は口が閉じないようにするためか、ジャッキみたいなもので固定されます。これがつらいです。

 

土台の部分を触られると骨とくっ付いていますのでダイレクトにその振動が伝わってきます。耳や脳に響きます。

 

最後に切開した歯肉を縫合して終わり。その後、先生がくっつけたネジ山をコンコンと叩きはじめます。すると、横にある機械が反応します。くっついているかどうかをこの作業で確認しているのでしょうか?

 

治療後の様子

今回の治療でも出血はほとんどありませんでした。翌日の朝、少しだけ口の中に血が溜まっていましたが、わずかなものです。痛みも出血もほとんどなかったので、普通に食事はできます。わたしの場合は念のために、豆腐や素麺などのあまり刺激がないものにしておきました。

 

治療当日は痛みはほとんどありませんでしたが、翌日には少し違和感を感じました。メスを入れているので、全く無痛というわけにはいかないようです。

 

気になることといえば、その見た目。金属のネジ山の部分がモロに見えてる状態。歯茎からネジ山が見えているのですから違和感ありありです。

 

二週間後、仮歯をつくるための型取り

上記の治療から二週間後、仮歯をつくるための型取りを行いました。まずは麻酔をします。型取りなのに麻酔?実際にはその前に別の器具を装着するようです。それが歯肉まで届くから痛いのでしょうか?器具を取り付けられて、ようやく型取りです。上下全ての歯の型取りを行います。

 

さらに二週間後、仮歯の取り付けを行う

型取り作業から更に二週間後に義歯の取り付けを行いました。今回もまずは麻酔をします。口の中で作業なので相変わらずなにをやっているのかはわかりません。

 

仮歯を取り付けて噛みあわせを確認します。高さ調整のために何度か仮歯を削ります。噛みあわせOKなのを確認して取り付け。10分程度で終了です。

 

「仮歯はプラスチックでできていますから、固いモノは食べないで下さい。少々固いモノでも大丈夫ですけど、ガムは食べないで下さい。歯が取れますから。仮歯で一ヶ月くらい様子を見て大丈夫なら、本歯をつけましょう」

 

「違和感を感じる場合や痛くなってきた場合、どうしても口の中を噛んでしまう場合とか、不具合があったらおっしゃって下さい。調整しましょう」

 

こんな説明を受けました。あくまでも仮なので注意しないといけません。

 

仮歯生活について

自分の歯ではないので、全く感覚がありません。歯を磨いているという感覚もわからない。インプラントなので虫歯になることはないのでしょうが、インプラントまわりでトラブルがあった場合は、自分では気がつきにくいでしょう。定期健診は必ず受けようと思います。

 

本歯のための型取りをする

一ヶ月間の仮歯生活を経て、いよいよ本歯の取り付けです。かと思いきや、もう一度型取りをし、次回、本歯を入れるのだそうです。まずは仮歯をはずします。あっさり抜けます。ガムやキャラメルを禁止するのも納得です。

 

そして、外したあとの部分を削り始めます。歯を削っているわけではないので痛みはありません。その後、インプラントの部分を磨いたり、薬を塗ったりといった作業が続きます。前回の仮歯のための型取りは全ての歯に対し行いましたが、今回はインプラントの対象となる部分だけの型取りでした。二週間後に本歯をとりつけて終了となります。

 

二週間後、本歯のとりつけ

型取りから二週間後に本歯をとりつけました。これはどうということもなく取り付けるだけで終了です。以上がインプラント体験の全工程です。

 

インプラント治療、六ヶ月間の概要

  1. 虫歯になった奥歯を抜く
  2. 抜歯から二週間後に抜糸
  3. 手術の三日前から抗生剤を服用する
  4. 一ヶ月後、土台の部分を埋め込む
  5. 三ヶ月後、土台にネジ山をくっつける
  6. 四ヶ月後、義歯を作るための型取りを行う
  7. 五ヶ月後、仮歯(プラスチック)を入れる
  8. 前回から三週間後、本歯用の型取りを行う
  9. 抜歯から六ヶ月後、本歯を装着する

 

まとめると、こんな感じの半年間でした。わたしの場合は他の虫歯の治療も行っていたので、半年間歯医者に通い詰めていましたが、インプラントだけですと、9回の通院になります。月1~2回程度の通院なので、それほど大変でもないでしょうか。

 

いちばん辛かったのは、最初の抜歯です。親知らずの抜歯よりは痛くなかったですけど、それでもやはり抜歯は痛いです。顔が腫れます。痛み止めも種類があるようなので、あまり効かない場合は別の種類の痛み止めを出してもらうのがいいかもしれません。わたしの場合は処方して頂いたロキソニンでなんとかなりました。

 

気分のよくないときにはこういった治療はしないほうが無難でしょうか。メンタル面は治療後の治りや痛みにも影響します。気持ちを整えてから治療に臨んだほうがよさそうです。

 

今後は年に四回、自費で定期検査を受けることになります。合わせて他の歯のメンテナンスも行います。これ以上、自分の歯を失わないようにしっかりとメンテナンスをしていこうと思います。