フリーズする人間にどう対応すればいいか?
会社の後輩A君は気に入らないことがあるとバリアを張ってしまう。フリーズしピクリとも動かなくなるのだ。先日も締め切り間近の資料がまだ未提出であることを注意した。
「できた?」
「え?なんのことですか?」
この時点でカチンとくる。A君に頼んでいる仕事はひとつしかない。いわなくてもわかるだろう?
「今日までに提出する資料あったよね?あれ、できたの?」
「いや、実はいろいろ問題がありまして」
要するにできていないということだ。
「昨日聞いたときには、明日の午前中までには提出しますって言ったよね?」
無言になるA君。昨日、彼はさっさと定時で帰宅した。資料は明日の午前中には提出するという約束で。蓋を開けてみればこのザマだ。提出すべき資料は社内用の資料だから、まあどうにかなる。だけども、この無責任さを注意しないわけにはいかない。
「問題があってできてないのは仕方がないけどさ、ちゃんと報告してよ?明日の打ち合わせどうすんの?じゃあさー、今日中に関係者にメールしといてよ?実はこんな問題があってできていませんって。ちゃんと理由を説明すれば、納得してくれると思うからさー。」
そして彼はフリーズした。ピクリとも動かない。お前は死んだふりをするトカゲか。
擬死
擬死(ぎし)は、外敵に襲われた動物が行う行動ないし反応の一つの類型で、動かなくなってしまうことを指す。俗にいう死んだふり、死にまね。一種の防御行動と考えられる。
「メールできるよね?」
解凍されない。僕はどう対応したらいいのだろうか?なにを話しかけてもまばたきひとつもしない。フリーズしたままの彼を残し、そっと自分の席に戻る。
僕は結構悩んだ。「彼が会社に来なかったらどうしよう?」と。そんな僕の気持ちとは裏腹に彼はいつも通り出社した。まるで昨日のことなどなにもなかったかのように。フリーズ前後の記憶は彼の中から抹消されているようだ。
彼を責めることは簡単だが僕自身も反省しなければいけないところがあるのだと思う。僕自身が壁を作っているから彼は報告しにくかったのか。僕のイライラ感を彼が敏感に感じとってしまったか。だから報告を躊躇してしまったか。以前、A君と一緒に仕事をしていた先輩に今回の件を相談してみた。
「いや、Aって前からそんな感じだよ?」
やっぱ、おまえ自身の問題じゃないか。