ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

注射を間違えるとかどうかしてる

健康診断

職場の健康診断を受けた。一度くらいは人間ドックなんてものに行ってみたいと思っているのだが、職場では毎年春に健康診断があるので、まあ、いっかと思っている。

 

体重測定

体重身長とも社会人になってからはほとんど変化がない。過去に寮生活をしたことがあるのだが、その時だけは体重が増えた。それでようやく標準体重というレベルだ。実際に標準体重になっていると体が重い。久しぶりにあった友達には「顔が変わった」と言われた。この時期は確かに腹周りも余裕で摘まめた。その時期を除いては、ほぼ現状維持だ。現状維持はマイナスという考えは、自分の体型だけには適用されない。

 

視力検査

視力に関しては仕事をはじめた途端にガクッと落ちた。学生時代は1.5~2.0をキープできていたのに、会社に入った翌年の視力検査以降、まるで今の日経平均株価のように下がり続け、ついには0.02までとなった。0.02という視力は一番大きな輪っかが見えない。「あの大きな輪っかが見えないやつなんていないだろう」と思っていたのだが、実際見えなくてガッカリした。

 

血液検査

そして採血である。やはり注射は苦手だ。注射は痛い。はやく注射などしなくてもいい時代がこないだろうか。

 

「注射やアルコールで気分が悪くなったことはないですか?」

 

実は過去に採血後に気分が悪くなって倒れたことがある。もともとが低血圧だから、血を抜かれるのはキツイ。校長先生の話が長過ぎて、ひとりで座り込んでいたのは、なにを隠そうこの僕だ。

 

「気分が悪くなったことはありません」

 

僕はウソをついた。素直に話したところで、採血しなくていい選択肢なんてないに決まっている。ついてもいいウソだってある。そして僕は左腕を差しだす。

 

「痛くないですか?」

 

えーっとね、とっても痛いです。僕はここではウソはつかずに素直に痛いといった。しかも、グイッと針を押し込むものだから余計に痛い。

 

「あ、ごめんなさい。間違えました」

 

どうやら彼女は針を打つ場所を間違えたようだ。一回抜きますねと言い、細い針にしましょうねとも言い、別の場所に針を刺す。手際の悪い看護師のせいで無駄に針を二度も打たれた。「テメー、間違えてんじゃねーよ」という言葉を飲み込みながらひたすら我慢する。

 

「ごめんなさいね。本当にごめんなさいね」

 

必要以上にごめんなさいを繰り返されると、なんだかこっちが悪いような気がしてくる。理不尽な思いをしたのはこの僕なのに。そんな診断を着々とこなし、最終関門である胃の検査へ臨む。

 

胃の検査

「さあ、バリウムを飲みなさい」

 

そんな上から目線で言われたわけではないが、気分的にはそんな感じだ。従わざるを得ない。ここでもバリウムを飲まないという選択肢はない。バリウム自体はそれほどイヤではない。それよりも苦手なのは、グルグルと回転する巨大な検査台だ。あれはちょっとしたアトラクションである。

 

検査台の前に立ち、しっかりと手すりを持つ。しっかり持っておかないと振り落とされることになる。はじめてこの検査を受けたときは、かなりビビった。台が横倒しになり、頭の血がのぼるくらいに台は反転し、グルグルとまわる。しかも「その台の上で自分で動けや」という指令まで下る。

 

「そのまま右に2回転して下さい。少し左に戻って。その位置で停止。はい、息を吸って。もう2回転しましょう」

 

台を操作している人にとってはルーチン作業かもしれないが、はじめての僕はとても不安であった。ゲップもガマンしなくてはいけない。ヘンな汗がでてくる。「手すりを逆手で持って下さい」なんて指示されても、「え?逆手?どうしたらいいの?」とパニくるばかり。

 

不安な時間というのはとてつもなく長く感じる。一体、何回転させられたのだろうか。年に一度のこの検査が憂鬱でならない。