ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

映画「メットガラ ドレスをまとった美術館」の感想

メットガラ

2015年5月2日、NYメトロポリタン美術館(MET)。伝説のファッション・イベント《メットガラ》が華やかに幕を開けた。主催は“プラダを着た悪魔”こと、アナ・ウィンター。企画展示を担当した革新的キュレーターのアンドリュー・ボルトンと、共同主催するアナ・ウィンターに密着した本作。ゴージャスな一夜を生み出すための8か月を“初めて”カメラで捉えた、野心あふれるドキュメンタリー

 

ファッションイベントの裏側。ファッションをアートと認めてもらえない。単に着るものではない。装飾は芸術なのだと。 ファッションショーをみるたびに思うことがある。

 

「あんな格好をして街を歩いたら頭おかしいだろ」

 

そういうことではなかったのだ。ファッションショーは芸術。普段使いの装飾とは別物なのだ。というより住む世界が違うのだ。

 

「鏡の中の中国」という展覧会を開催するまでの裏側がメインになっているこの映画。中国というと最近ではあまりいいイメージがなかったが、この映画を見て少し考えがかわった。昔の中国の衣装の素晴らしさ。京劇の華やかさ。中国映画はほとんどみることはないが、この映画の中で映し出される中国映画は実に品があってよかった。青の陶磁器をモチーフにしたドレスも実に美しかった。

 

展示会を開催するにあたり中国側に打診する。「昔の中国だけではなく、今の中国も見て欲しい」という中国側の提案に「今の中国にはなにもない」と。今の中国は発展途上中だ。だから過去の中国にもスポットをあてこれから先に繋げなければいけないと。

 

単に昔はよかったということだけではないのだ。毛沢東や仏陀像もこの展示会に取り入れるが、それはとても繊細な話。取扱を間違えれば、誤解を受けることにもなりかねない。綿密に話し合いを行う。 

 

展覧会のオープニングイベントには各界のセレブを招待する。そうやって華やかさを演出する。 参加してもらうための出演料の交渉。誰を呼ぶのか。どのテーブルに座ってもらうのか。こういうのは意外と大事で間違えると大変なことになる。人間関係の難しさ、人との関わりの難しさが伺える。

 

僕はこの映画を見ながらずっと自分の仕事のことを考えていた。自分の信念をもった人達っていうのはこういう仕事をするんだなぁ。

 

この世界に僕は飛び込むことはできないけれど、僕がいる世界でこんな仕事のやり方をするにはどうしたらいいかなぁ。かっこいい仕事のやり方をしている人たちはとても刺激になります。僕も頑張ろうって思わせてくれる。