ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

東海道中膝栗毛「歌舞伎座捕物帖」八月納涼歌舞伎

歌舞伎座捕物帖

今年も歌舞伎座八月納涼歌舞伎は三部制で魅力的な演目が並んでいる。今日はその二部を観てきた。演目は「修禅寺物語」と「歌舞伎座捕物帖」で後者は去年上演された東海道中膝栗毛シリーズだ。

 

 

これはシネマ歌舞伎にもなっている。

 

「歌舞伎座捕物帖」は「こびきちょうなぞときばなし」と読む。この読み方は一般公募で決められたもの。木挽町とは歌舞伎座がある場所の昔の地名らしい。

 

演目名の通り舞台は歌舞伎座。義経千本桜の四の切の稽古中に殺人事件が起きる。さて、犯人は誰か?という話。

 

四の切はケレンがたっぷりの歌舞伎で宙乗りはもちろん、階段から突然、忠信が現れたり、狐の正体を表した忠信が天井からくるりと回転しながら出てきたりと見た目にも楽しい古典歌舞伎。その仕掛けや演出の方法などが明かされる。

 

容疑者は二人に絞られ、そのどちらを調べ上げるかは観客の選択によって決まる。最近ではドラマでもこういう趣向がみられる。ノベルゲームの乗りだね。

 

これって参加している感はあるし、ワクワクドキドキもするけど、もう一方の展開の方が気になってしかたがない。

 

もしシネマ歌舞伎化されたら、どっちを上映するんだろうね?もしくは両バージョン上映?ちなみに容疑者を決める場面はなぜかショー仕立て。電飾キラキラの猿之助が好きな品のないやつ。僕はこれがキライ。

 

ところでこれ、東海道中は全く関係ないような気がするんだけど。歌舞伎というよりは喜劇だから、そのキャラクターとして弥次喜多は最適。染五郎は来年には幸四郎を襲名する。幸四郎になってもこれをやるのだろうか?少し軽すぎやしないか。まあ、猿之助も三代目から比べるとずいぶんと軽い感じになってしまったけど。

 

そんな中でも安定して観ていられるのが市川團子。中車の息子。多分、次の猿之助。四の切の場面で「いつかは私も演じてみたい」というセリフには拍手喝采。演じるのは二十年くらい先だろうか。

 

中車は劇場を仕切る座元の釜桐左衛門という役。「かまきりざえもん」と読む。昆虫番組を持つくらいに昆虫好きらしい御本人。紋所もかまきりだ。最後の場面では半沢直樹を匂わせる場面もあって、大仰に土下座をする。

 

内容はどうであれ、猿之助は「観に行こう」と思わせる舞台をするから面白い。八月納涼歌舞伎はチケットはほぼ完売みたいですから、観たい方は朝から並んで幕見のチケットをゲットして下さいませ。