「お願い離れて、少しだけ。」の感想
毒母がテーマの本書。著者は越智月子。同著者の作品は「モンスターU子の嘘」「
咲ク・ララ・ファミリア」を読んだことがある。咲ク・ララ・ファミリアは家族の形を描いた作品。面白かった。モンスターU子は有吉佐和子の「悪女について」を思わせる作品。それと比較すると薄っぺらい話だった。
最近の言葉の傾向なのだろうか。「毒」だとか「モンスター」「劣化」など人間を例えるには悪意のある言葉を用いることが多いような気がする。それはそれらの言葉が人の興味を引くからだろう。品があるとは思えない言葉で人を罵り評価する。本書に出てくるのもそんな女たちのオンパレード。
母と娘の関係をメインに描かれている。子どもの頃から大切にされなかった娘たち。大人になった今も母親にさからうことはできない。そこから逃げることもできない。彼氏を連れてくれば「あんな男はダメ」という。いつまでもひとりでいれば「早く結婚しなさい」という。わたしはどうしたらいいの?
五つの物語はそれぞれ独立しているが、上条眞理子という精神科医が共通して物語に登場する。彼女は「消えてください!お母さん」という本を出版し、その本はベストセラーになっている。
なにかと娘の行動にケチをつけたがる母親。こんな母親はどこにでもいるのだろうと思います。あまりにも自分に似ている娘に対して文句をいいたくなる。
自分のような人生は歩ませないようにと育ててきた娘。娘のためにと思って育ててきたのに思い通りにならない。そんなお母さんのようにはならないとわが道を歩もうとする娘。自分の子どもが生まれたとき、そんなお母さんと同じ行動をとっていることに気づき愕然とする。
血ってなんなんでしょうね。