ミニマム コラム

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幽玄「坂東玉三郎✕鼓童」の舞台を観ての感想

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坂東玉三郎は歌舞伎役者。鼓童は太鼓芸能集団。その両者がコラボレーションしたのが「幽玄」だ。このコラボは実は二回目。一回目は「アマテラス」という舞台で僕は再々公演となった2013年の舞台を拝見したことがある。

 

それは実に素晴らしかった記憶がある。玉三郎の神々しさ。太鼓の重低音が会場中を覚醒する。会場全体が異様な空気に包まれたのを覚えている。題名がアマテラスというだけあって内容は理解しやすかった。

 

今回は「羽衣」「道成寺」「石橋」という能の演目を幽玄という舞台にしている。「石橋」は「いしばし」ではなく「しゃっきょう」と読む。

 

本舞台は二部構成。一部が「羽衣」にあたる。これは能そのもの。僕は能の舞台は観たことがない。僕には少し敷居が高いようで、そのゆったりとした動きと展開の遅さでつい寝てしまった。玉三郎が最後に羽衣を受け取ったところはきちんとみた。能の決まりごとがわかってないと理解出来なさそう。全編にわたってそうなんだけど、玉三郎は一言も言葉を発しない。其の存在だけでなにかを表現していくのだ。

 

第二部のはじめは「道成寺」これは釣り鐘が出来てきたのでわかった。お姫様は実は大蛇でその正体を表すと舞台上をウネウネと動き回る。終始、トグロを巻いた状態で動き回り「その状態で動き回りはしないだろ」なんて思いながら観ていた。

 

最後は「石橋」これは毛振りを思い出してもらえればいい。頭をグルングルンと回しながら長い毛をふりまわすアレだ。あの人たちの正体は獅子。今回はその獅子が五人も出てきて実に華やかだった。

 

途中で獅子たちが会話をしているかのような場面がある。顔を見合わせてうなずくと前髪がチロチロと揺れる。その前髪の揺れだけでなにか会話をしているんだろうなぁと思わせることができる。いかにも動物的。かわいらしさもあった。

 

今回の獅子は全員白毛。たいてい赤毛の獅子もいるのだけど。この演目を観て毎回のように思うのだけど、あれだけ頭ふってよく平気だよね。僕だったら目眩がして思わずよろけてしまうと思う。

 

僕は前回のアマテラスの方が好きだったけど、まあ、玉三郎さんの気品あるステキな舞台を拝見できてよかったと思います。浄化された気がする。