ミニマム コラム

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シネマ歌舞伎「め組の喧嘩」を観ての感想

め組の喧嘩

シネマ歌舞伎の第29弾「め組の喧嘩」は2012年5月に平成中村座で上演された舞台を映画化したもの。

 

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め組とは江戸時代の消防団。鳶職の男たちは喧嘩っ早く力士たちと喧嘩を起こす。この事件は実際にあったもので、こうやって今の時代にまで語り継がれているのだから相当なものだったのだろうと想像する。

 

平成中村座は十八代目勘三郎が2000年に浅草に復活させた芝居小屋。江戸時代の芝居小屋をイメージして建てたもので、期間限定の芝居小屋なのだ。僕は大阪城公園内のそれに足を運んだことがある。そのときには残念ながら十八代目はいなかったんだけれど。

 

十八代目が亡くなったのが2012年12月のことで、この「め組の喧嘩」が上演されたのが2012年5月のこと。勘三郎最後の平成中村座だったのだ。このときの平成中村座は長ロングラン公演で2011年11月から2012年5月までの半年(2月はなし)にも及んだよう。

 

この芝居には中村梅玉さんも参加されていて、僕にはちょっと意外だった。意外だったがスペシャル感があってよかった。しかも喧嘩の仲裁に入るあの場面。思わず拍手してしまいましたよ。梅玉さん、ああいうこともやるんだなぁって。

 

勘三郎の芝居といえば、たいていどこかでクスリと笑わせる場面があるのだが、この芝居にはそれがない。それどころか笑顔をみせる場面はまるでない。

 

だからそこあのラストの場面。泣きましたよ、僕は。悲しくもないのにむしろ皆、楽しげに笑っているのに。本当に楽しそうなんだ。商業的な笑みではなく。歌舞伎が大好きなのだと思う。

 

あの終わり方はいけないなぁ、反則だ。