ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

組織の中のどこが変か?

調整役

この一週間は仕事上で調整役にまわることが多かった。年齢的にもそういうポジションなのだと思う。

 

「バーコードさんがこういってるんだけど違うよねぇ」

 

こう僕に相談してきたのは僕の直属の上司。仮にNさんとする。バーコードさんはその上の上司。バーコードさんという名前はもちろん仮名で、その由来はご想像通り。

 

ある部署へIoT等の新技術(僕の会社にとってはです)の提案をしているのだが、 Nさんはそれを見送った。

 

  • 新技術に対応できるレベルの職場ではない
  • 慢性的な人員不足であり対応ができない
  • 今のシステムが使いこなせておらず、そのレベルを上げることが先決

 

理由としてはこんな感じ。要するに現実論として新技術の導入を見送ったのだ。結局、使うのは人なので、無理に新しいものを導入しても宝の持ち腐れになる可能性が大きいのである。

 

僕もこの考えには賛成で、この部署に導入するにはまだ早いと思っている。

 

だが、バーコードさん的にはどうにかして新技術の導入を進めたいらしいのだ。理由は簡単。上からのプレッシャーだ。要するにその部署に対する改善効果など期待しておらず、バーコードさんは手柄が欲しいだけなのである。まあ、よくある話だね。

 

上からのプレッシャーというのは専務からのプレッシャーで、専務は更に上の社長からプレッシャーを受けているよう。このプレッシャーというもののお陰で話がおかしな方向に進んでいる。それを回避しようと僕は調整役に回っている。

 

バーコードさんが手始めに実施しようとしているのが外部コンサルタントの導入。Nさんも僕もこれには大反対なのだ。

 

実際に今まで何度も外部コンサルを受けていて、その費用対効果の低さに僕らはうんざりしている。

 

時間と金をかけて、なにが得られたかといえば見た目が立派なレポート用紙数十枚。中身はわかりきったこと、当たり障りのないこと、表面をさらりと撫でたような薄っぺらいことが書かれている。これに数千万円ものお金を出すだなんて考えられない。

 

現場の人間が走り回って汗水たらして稼いだお金を僕らのような間接部門が湯水のごとく使う。

 

「金ならいくらでもある」

 

それがバーコードさんの口癖。だけどそれはあなたのポケットマネーじゃないでしょう?

 

社長としては「稼げる会社」にするために出した新技術導入の指示が、どこかで間違ってしまい、結果、散財しているという本末転倒な話。

 

 社長→専務→バーコードさん→Nさん→僕

 

それぞれの繋がりは決しておかしくないんだろうけど、

 

 社長→僕

 

として考えると、まるで話が繋がらないのだ。伝言ゲームがいかに難しいかってことだろうと思うし、間に仲介が入れば入るほど、話はおかしくなる。中間マージンを取られて結果、高い値段で買わされるのと同じだ。

 

僕はバーコードさんとも直接話をしたのだけど、取り付く島がない状況となってしまった。その部署はまだそんなレベルにはない。新技術の導入は時期尚早と言えば言うほど「それならコンサルが必要だ」という話になってしまう。

 

バーコードさんは外部コンサルタントの立派なレポートが欲しいだけである。僕はその職場の仕事を少しでも楽にしてあげたい。そもそもお互いの目的が違うのだから話があうわけがない。

 

僕はバーコードさんはある意味すごいなと思っている。ブレないんだもの。なにがなんでも自分の目的を果たす。僕の意見もきちんと聞いてくれて決して否定はしない。

 

でも、スポンジにすうっと吸収されてしまったかのように僕の話はどこかへ消えてしまう。否定されないのだから反論もできない。こういう人じゃないと上にはいけないんだなぁ。

 

で、外部コンサルを導入するにしても、最終的にはその部署の合意を得なければいけない。僕はその部署のトップの方とはとても感覚があう(と僕は勝手に思っている)

 

なので、バーコードさんの目的やコンサルに意味がないことを伝え、トップの方自らにはっきりと断ってもらうように事前調整をするつもりでいる。Nさんもそれを望んでいる。事情を知る僕のまわりの人たちもそれを望んでいる。

 

ここで重要なのは「はっきりと断ってもらう」ということ。曖昧な返事をしてしまうと「了承を得た」ということになりかねない。

 

了承が得られると予算確保→せっかく予算を確保したいのだから実行せねば→コンサル実行→終了→あれ?こんなはずではなかった

 

というパターンになりかねない。というか99%こうなる。

 

これほど多くの人がバーコードさんがしようとしていることに反対しているのに状況は反転しない。いかにバーコードさんの事の進め方がうまいか、力があるかってことになる。

 

目的が間違っていなければバーコードさんは素晴らしい人だと思う。悪い人ではない。間違っているだけの人である。

 

でも、こういうふうに間違った方向にいける人でないと組織の上の方にはいけないのだろう。正しくいれば、力が持てない。きっとどんな組織にもあてはまる法則で、それでもどの組織も運営できているのだから、世の中の仕組みってのは不思議だと思う。