ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

二月博多座花形歌舞伎(2018年)を観劇した感想

歌舞伎

2018年2月の博多座は花形歌舞伎。メイン出演者は中村勘九郎、七之助、尾上松也。

 

磯異人館

生麦事件でつかまった父を持つガラス細工職人の息子を橋之助が演じる。しかしなぁ、演技はいまいち。セリフがこもっていて聞き取りづらいのは致命的です。最後に切られてしまう場面があるんだけど、痛さも感じさせず普通にしゃべっている。もうちょっと、最後感を出さんかいなんて思ってしまいました。

 

お染の七役

七之助が七役を演じ、勘九郎が三役を演じる。いずれも毎回ほぼ早代わり。七役をひとりの人間が演じるってことは雰囲気も声色もそれぞれに使い分けないといけないんだけど、それをうまく演じている。僕はとくに年増を演じる七之助が好きです。

 

最後のほうでござと傘を使った早代わりがあるんだけど、今回は舞台上でそれを行った。できれば、花道上で観たかったなぁ。

 

義経千本桜

今回は「渡海屋」「大物浦の場」を上演。事前に市川猿三郎さんのブログを読んでいたので、よりよく理解できました。特に安徳帝のかいがいしさといったら。安徳帝というのはわずか6歳で海に身を投げたといわれている幼い天皇のことね。この場面ではじめてうるっときました。

 

平知盛を演じるのは尾上松也。背が高いのでなかなかに迫力があります。最後にいかりを抱えて海に飛び込むシーンなどはなかなかでございました。

 

この場面も音羽屋流というのがあるようでして、おもだか流のそれと比べると、あっさりした演出です。僕的にはおもだかのようにもう少し見せてくれたほうがいいかなぁ。

 

鰯賣戀曳網

「いわしうりこいのひきあみ」と読みます。これが夜の部のラスト。三島由紀夫作の歌舞伎でございます。演目名の通り、いわし売りが恋をするってお話。

 

「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯かうえい」というセリフまわしが面白い。まあ、コメディですな。

 

全編通して思ったんですけど(ってか、いつも感じているんですけど)勘九郎は、本当にお父さんの勘三郎さんにそっくり。完コピって感じ。今はこれでいいのだと思う。だけども、どこかで自分らしさを出さなきゃいけないときがくる(はずです)

 

だって、そうしないと父を超えられないじゃないですか。そうやって名前ってのは大きくなっていって。名前を継ぐっていうのはなかなかのプレッシャーですなぁ。

 

なんてことを思いました。久しぶりに歌舞伎が観れてよかった。