ハツコイ
ずっと気になっていた。話には聞いていたから。別に探していたわけじゃない。スーパーで買い物をしていたときのこと。店内を見渡していると、ふと視線に入ったのだ。
「金賞受賞」
その言葉を信じて僕はそれを手に取った。甘露煮とでもいうのだろうか。
それはコイ。
そう、この地方ではコイを食べるという習慣があると聞いていて、機会があれば食べてみたいと思っていたのだ。
コイってあれだよね。お城のお掘りとか公園の池とかで泳いでいるやつだよね。白に赤のまだらの魚だよね?
えー、あれ、食べちゃうの?
「刺し身で食べるんですか?」と質問した僕に「あんなものは泥臭くてさしみじゃ食えねぇよ」と丁寧に教えてくれた。
近所のスーパーで発見しちゃったんだよね。真空パックになったコイを。甘辛く煮られたコイを。パックには「金賞受賞」のシールが貼られていた。きっと美味しいに違いない。
僕は少し迷ったあげく、それを購入した。迷った理由は「泥臭い」らしいということ。でも、金賞のコイなら問題なく美味しくいただけるだろう、と。
「んー、泥臭いかも」
コイの身の部分を口に入れた瞬間の感想がそれだった。先入観によるものかもしれないが、なんとなく泥臭さを感じたのだ。
白身の部分の味はなんとなく気になるのだが、卵の部分は普通に美味しかった。カレイの煮付けのそれにも劣らない感じ。
肝の部分などは、動物のレバーそのもの。牛とか豚とかね。僕はレバーはきらいではないので(むしろ好き)美味しく頂いた。
総評。
一回食べたらそれでいいかな。イルカを食べたときと同じ感想であった。