ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

ゴミ屋敷に棲む人々 孤独死を呼ぶ「セルフ・ネグレクト」の実態

ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 孤立死を呼ぶ「セルフ・ネグレクト」の実態 (幻冬舎新書)

ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 孤立死を呼ぶ「セルフ・ネグレクト」の実態」を読みました。世の中にある少なくはないゴミ屋敷の紹介本と思って手に取った一冊です。しかし、ゴミ屋敷の紹介よりも、なぜそういう状態になってしまったのか?そして、どう対応すべきか?について書かれている本でした。

 

セルフ・ネグレクト

本書にはセルフ・ネグレクトという言葉が頻繁に登場します。

 

セルフ‐ネグレクト(self neglect)

成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。必要な食事をとらず、医療を拒否し、不衛生な環境で生活を続け、家族や周囲から孤立し、孤独死に至る場合がある。防止するためには、地域社会による見守りなどの取り組みが必要とされる。自己放任。

 出典:セルフネグレクト(セルフネグレクト)とは - コトバンク

 

セルフ・ネグレクトは高齢者のかたが多いようです。簡単にいってしまえば、年取ると片付けられなくなるよってことですね。年を取ると、頑固になって人の言うこと聞かない人も多くなって、それが、弊害になっている場合が多いようです。「自分でなんとかするから。ゴミじゃなくて全部使うものだから。」っという気持ちがゴミ屋敷を生んでしまうんですね。

 

ゴミ屋敷の人たちは、なぜゴミに執着するのでしょうか。(中略)他者の介入を拒む、独立した人たちに多いように思います。孤独で、寄り添う人がいないため、物欲に走り、ゴミ屋敷にたどりついたのではないかと感じるのです。

 

もちろん、高齢者に限らず、片付けられない人はいます。

  • 片付けることが面倒になった
  • ひとりで寂しくて何もやる気が起きなくなった
  • 仕事が忙しくて片付ける暇がなかった
  • 気に入った物を買いためていたら、いつの間にか部屋いっぱいになった

 

セルフ・ネグレクトに陥るきっかけ

セルフ・ネグレクトに陥るきっかけには以下のタイプがあるといいます。ここでは項目だけを紹介しておきます。

  1. 認知・判断力低下型
  2. ライフイベント型
  3. プライド維持型
  4. 引きこもり移行型
  5. 遠慮・気がね型
  6. 貧困・経済不安型
  7. 医療・サービス拒否型
  8. 住民苦情・トラブル型
  9. 怒り・不満型
  10. 虐待移行型

 

セルフ・ネグレクトの課題

いろいろ問題があってゴミ屋敷となってしまった場合でも解決の糸口はありそうです。いちばん問題なのは自分の意思でゴミ屋敷にしていること。これをどうするかです。

 

人は、悪いとわかっていても、それをあえて行う自由が認められています。それは愚行権という権利です。愚行権とは、たとえ他の人から愚かな行為だと評価・判断されても、個人の領域に関する限り、邪魔されない自由のことです。

 

だからといって、セルフ・ネグレクトを放っておいてよいわけではないというのが著者の考えです。支援するにもいろんなパターンがあるので、よく状況を見極めて対処する必要があり、そのヒントになることが、本書のラストとなっています。

 

ゴミ屋敷はココロの闇が物体化したもの

結局ね、個人の気持ちの問題なのかなと思うんですよね。こういう人たちって往々にして心を閉ざしているように見えます。で、ゴミ屋敷を作って、ますます嫌われるようになって、ますます心を閉じてしまってという、負のスパイラルに陥ってしまうわけです。

 

一度、心を閉じると、それを開けるのは本人でも難しいですよね。仲のよかった友達とケンカして、本当は仲直りしたいんだけど、きっかけがなくて、自分でもどうしたらいいのかわからないって経験ありますよね?必要なのは、仲直りできるきっかけだけなんですよね。

 

ゴミ屋敷は心の闇が物体化したものなんじゃないかな?ってのが、わたしの感想です。ということはまず必要なのは、メンタルケアでしょうか?