ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

我が闘争 堀江貴文 を読んで

我が闘争

我が闘争 堀江貴文

堀江貴文さんの自叙伝です。幼少期から東大生生活を送るころまでの内容は、ほぼ「ゼロ」の内容と一緒です。なので、飛ばし読み。面白いのは、著者がアルバイトをしはじめたあたりからです。働くことが好きな人なんだなというのがよくわかります。

 

インターネットがメジャーではない時代にテレビのクイズ番組にネット環境を持ち込み、裏方としてその設定をしていた。そのテレビ局がフジテレビだったという話は面白いです。そんなことまでやっていたフジテレビがなぜネットとの融合を拒否したんでしょうね。ニッポン放送株の件など、半ば意地になっていたようにも見えました。

 

インターネットは私もわりと早い時期から手を出していました。しかし、それはあくまでも利用者としての立場でした。すごく面白い世界だけど、ネットで買い物が出来るようになるまでは随分と時間がかかるんだろうなぁ。そんな風に思っていました。でも、そんな未来はあっという間にやってきました。そんなネットの世界に可能性を感じて、それを作る側として関わっていったのが堀江さんです。そこがわたしと大きく違うところ。自分が作る側に行くなんていう発想は微塵もありませんでした。

 

懐かしく思ったのは「ピピンアットマーク」です。1996年にバンダイから発売されたインターネットのできるゲーム機といった感じのマシンです。当時は買おうかなと思ったこともありました。結局買いませんでした。インターネットならパソコンでも出来るので必要ありませんでした。当時、話題にはなりましたが、結局普及はしませんでした。これにも堀江さんは関わっていたようです。そして、売れないと確信していたようです。

 

その後も日本の航空会社初のホームページを作ったり、小室哲也率いるTKファミリーのサイトを作成したり。globeのライブのチケットをはじめてネット販売したのも彼なんだそうです。そう考えるとすごいよなぁ。はじめてのことをやるっていうのは、すごいパワーが入りますし、様々な障害もあるはず。それにチャレンジする姿勢がすごいです。それらを達成したときの気持ちというのは、その人にしかわからないですね。はじめては二度とこない。

 

わたしは堀江さんが書く本は読んでいて面白いです。なぜか。ある程度、彼がしてきたことを知っているからだと思います。堀江貴文、ライブドアという名前は当時、テレビで目にしない日はないくらいに取り上げられていました。なんだか、ワイワイガヤガヤと楽しそうだった。株式とかM&A、六本木ヒルズにニッポン放送。次から次へといろんな出来事があった。わたしはそれを見て単純に「なんだか面白ろうだな。」と思いましたし、「なにかが変わるかも。」と思っていました。そんないろんな思いが蘇ってくるから面白いのだと思います。

 

しかし、結局、出る杭は打たれました。面白そうなものは潰されたし、既得権益に逆らうことは許されなかった。「もう少しうまくやっていたらな。」なんて勝手なことも思いましたが、無難にうまくやっていたら、それはそれで魅力を感じなかったのだと思います。

 

あっという間に普及したインターネットを作ってきた人。マスコミに世間に持ち上げられて、あっとい間にどん底に落とされた人。そんな人の自叙伝だから面白いです。350ページ近くに及ぶ本書もあっという間に読み終わりました。