「あなたが業務を行うにあたり、障害となるものは何ですか？」の答え

どうしても今の上司と合わない。合わないどころか、会話をするだけでイライラするレベルまできてしまった。僕のなかで上司に対し「話が通じない人」というレッテルを貼ってしまったものだから、そういう風にしか見ることができないのだ。

客先への説明を行うために事前に上司と打ち合わせをした。「こういうふうには絶対に説明しないでくださいね。誤解を受けますから」そうお願いした。上司は「わかった。誤解させないようにする」と返事をしたのだが、僕との打ち合わせなどなかったかのように誤解を受けるような説明をしてしまった。

「ああいう説明はしないでくださいとお願いしましたよね？」

「え？そんな説明をしたつもりはないんだけどなぁ」

自分でどんな説明をしたのかがわかっていないらしい。僕は怒りをあらわにして上司に詰め寄ったのだが、まるで他人事のよう。ヌカに釘とはまさにこういうこと。

ヌカに釘

何の効き目も手ごたえもないことのたとえ。

「じゃあ、アズ君からスケジュール説明をしてもらいます」

え？そんな話きいてないけど？突然ふられても資料もないし、適当な説明するわけにはいかないし。当然断ったし、あとから文句も言った。

「説明が必要ならなぜ事前にそういってくれないんですか？なんのために事前打ち合わせをしたんですか！」

「伝わってると思ったんだけどなぁ」って言われても、僕には人の心を読み取る能力は備わっていないから、きちんと言葉で伝えてもらわないと困る。

そして、今日、上司は僕のところにきて言い訳をはじめた。

「アズ君はへんなふうに解釈して僕の説明を聞いたみたいだけどさぁ、それ誤解だから。本音と建前だから」

もういいよ、二週間も前のことを今さら蒸し返すなよ。この二週間、懸命に言い訳を考えていたのかと思うと、言い返す気もなくなった。言い返さなかった僕の様子をみて、僕が納得したとでも思っているようで上司は機嫌がよくなった。

「ところで、見積もりの件なんだけどさぁ、作業が終わったあとに出すことにしたから」

作業が終わったあとに見積もりを出す？いったいどういうことだ？見積もりというのは作業を行う前に出すものじゃないのか？それって「映画をみてから、前売り券買うかどうか決める」っていってるようなものだぞ？もう反論はしない。好きにしろ。

僕の会社では中間面接というものがある。事前に自己評価を提出するのだが、そのなかにこんな項目がある。

あなたが業務を行うにあたり、障害となるものはなんですか？

僕はそれに対し、「自分の上司」と記入した。しかし提出直前に思いとどまり消した。本音と建て前。仕方がない。