なにもない部屋に近づける方法
「この部屋ってなにもないよね」
僕の部屋を見た人は口裏を合わせたかのようにそういう。なにもないってことはない。机がある。椅子もある。ベッドや布団がある。クッションもあれば洋服もハンガーにかかっている。「なにもない」のではなく「なにもないに等しい」ということなのだろう。
確かにテレビはないし、棚もない。壁にはなにも貼ってないし、飾り付けてもいない。どこと比べているのかといえば、もちろん自分の家もしくは部屋と比べているのだろう。
「自分の部屋に比べればなにもないに等しいよね」
これが正解。冒頭の言葉をピカソの抽象画のように簡略化していくと「なにもない部屋」ということになる。あなたと比べればなにもないに等しいかもしれないけど、僕はまだなにか減らせるのではないかと思っている。
ソファなんていらないんじゃないか。ソファが必要な理由はひとつだけ。楽な姿勢でいられるから。もう少し具体的にいえば、楽な姿勢で本が読めるから。
パソコン用の椅子に座って本を読むのは堅苦しい。もう少しリラックスしたい。ベッドに寝転がって本を読むのは少しリラックスし過ぎ。寝転がるのはかえってつかれる。その中間的存在がソファだ。ということはリラックスできる姿勢が維持できればソファは必要ないということになる。
まずはもたれかかれるなにかが欲しいところ。壁では硬すぎる。では、ベッドどうだろうかともたれかかってみる。いいのだが、若干、角度が急すぎる。もう一歩リラックスできない。
腰の位置にクッションをはさんでみよう。うーん、もう少し背中を包まれている感が欲しいところ。安心して身を任せられない。背中とベッドの間の隙間を埋めるものが欲しい。
「布団はどうよ?」
布団の神さまが僕に語りかける。そうだね、布団がいいかもね。自由自在に形を変えられるし。さっそく、布団を背もたれ代わりにしてみる。
「いい感じやん」
さすが布団の神さまだ。これでソファなしでも部屋でくつろげそう。
「これでソファの神を追い出すことができそうだ」
ん?なにか言った?布団の神さま?
こうやって考えていくと、ドンドン物は減らせる。
- 代用できるものはないか?
- 見方を変えれば別の使い方ができるのではないか?
考えるということは大事だね。