ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

ドライイーストの温度について

食パン

僕は五日に一度のペースでパンを焼いている。砂糖やバターなどよけいなものは入れない。

 

ここ何度かパンの膨らみが悪かった。通常の大きさの半分くらい。半分の大きさで焼きあがったからといって小麦粉の量が半分に減っているわけでもなく、半分の大きさのパンでもそれなりに腹は満たされた。原因は多分この寒さ。ドライイーストは低温では活動しないのだ。

 

「いつもどおりの分量にしたつもりなのにおかしいわねぇ」

 

存命だったころの母親がつぶやいていたことがあった。「そうしたつもりがどうせ分量間違えているんだろ」と僕は心の中で思っていた。それから何年経っただろう。ようやく僕はその原因にたどり着いた気がする。

 

 

ネットで調べるとドライイーストが活動するには入れる水の温度を四十度くらいにするのがいいらしい。四十度といえばお風呂の温度だね。ただし熱すぎてもいけない。五十度以上になると今度は菌が死滅してしまうらしい。それがドライイーストの役割を果たさなくなったらパンはどうなってしまうのだろうか。それは想像しがたい状況。僕はそれをおそれて若干低めの温度にした。

 

「これでふっくらパンが焼きあがるに違いない」

 

そして五時間後。僕の期待は見事に裏切られた。

パン

 

「全然膨らんでないやんけ」

 

なぜだ。なぜ僕の期待したとおりに膨らんでくれないのだ。お湯の温度が低すぎたか。僕の愛情が足りなかったか。

 

再びネットで調べる僕。どうやら練ったときの生地の温度が三十度くらいでないといけないらしい。よく考えればそうだよね。お湯の温度だけを上げたところでベースとなる生地の温度が低かったら意味はない。

 

実際、冬場の小麦粉はとても冷たい。冷たいし白いしで冬のそれは雪そのもの。小麦粉を入れている袋が冷たすぎて「あぁ、冷たい」って思わず言ってしまうくらいだもの。

 

次にパンを焼くときは小麦粉の温度にも気をつけよう。直前まで小麦粉をギュッと抱きしめておいたらいいだろうか。そうすれば愛情も伝わるだろうか。その前に僕が風邪を引いてしまいそう。