ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

三代目 市川右團次 襲名披露

市川右團次

2017年1月の新橋演舞場は「三代目 市川右團次 襲名披露」だ。初代、市川右近が三代目、市川右團次となる。屋号は澤瀉屋から高嶋屋に変わる。同時に息子のタケル君が二代目、市川右近となり澤瀉屋メンバーとなる。右團次の名前は実に81年ぶりの復活らしい。

 

初代右近は歌舞伎の家の生まれではない。三代目猿之助に弟子入りする形で歌舞伎の世界に入った人だ。実は澤瀉屋メンバーはそういう人たちが多い。それが襲名披露興行ができるまでの実力を持ったのだからすごいことだと思う。

 

昼の部の演目は通し狂言「雙生隅田川」こちらも観たかったのだが、都合で観れず残念。YouTubeに動画がありますので貼っておきます。11分過ぎから三人宙乗りをする場面が見られます。

 

ちなみにこの子どもは四代目猿之助の子どもの頃の姿。当時の亀治郎。宙乗りの途中、ヒヤリとさせられる演出があります。

 

 

僕は今回、夜の部を観劇した。演目は以下の通り。

 

  • 源平布引滝 義賢最期
  • 三代目市川右團次襲名披露 口上
  • 錣引
  • 猿翁十種の内 黒塚

 

口上は襲名披露時だけのものだから特別感がある。中村梅玉、海老蔵、猿之助、中車など。今後は海老蔵と共演することが多くなりそう。来月の六本木歌舞伎「座頭市」でさっそくご一緒するようだ。

 

夜の部でいちばん観たかったのは「黒塚」 人里離れたところに住んでいる老女が実は鬼女でそれを僧侶たちがやっつけるという話。老女からすれば迷惑な話だと思う。せっかく人目につかないところに隠れているのにね。わざわざ出向いて懲らしめられるんだから。しかも見てはいけないと言われたものを勝手に見てしまうんだから老女も怒るよ。

 

その老女が月とすすきの山をバックに楽しそうに踊る場面がある。月の光によってできた自分の影と戯れる。その踊りは初代猿翁がロシアのバレエをヒントにした踊り。実に軽やかで楽しそう。それが一変して鬼女に変わる。その変化がすさまじく恐ろしい。

 

全般に関して思ったんだけど、なにか物足りなかったように感じる。迫力?気持ち?まあ、観ている僕の気の持ちようが多分にあるのだろうけど。

 

ずっと観てきた役者さんなので、今後も追いかけていこうと思います。