これから先を自分で決める
この地に越してきて早一か月半。この地で仕事をするのは三か月だけだから半分が過ぎたことになる。
ここで仕事をしていると時間が過ぎるのがとても早い。時計の進み具合が違うんじゃないかってくらいに。
一週間が終わるのも異常に早いし、今日までの日々もあっという間だった。残りの半分もきっとあっという間だろう。
「三か月ですかぁ、長いですねぇ」
旅立つ前に誰かとこんな会話を交わした。僕は「終わってしまえばあっという間なんでしょうけどね」と答えた。終わってしまわなくてもあっという間の日々。
充実しているのだと思う。
今の職場の人たちはみんないいひとばかりだ。たまに「面倒そうだな」という人もいなくはないが、そういう人とは関わらないようにしているので、おおむねいい人ばかり。
元の職場では常にアウェイ感を感じていた。ここは僕のいる場所ではない。常にそう感じていた。
そんな職場と比べるから、ますます今の職場がいいところに思えてくるのだと思う。
さて、この三か月が終わったらどうしようか。ある程度、道筋は立てていた。
「元の職場の仕事をやり終えたら、再びここに戻ってこよう」
三か月程度ではやれることも限られている。コンピュータシステムを使うという文化が根付いていない職場だから、僕がいなければきっと元の仕事のやり方に戻ってしまう。それではこの三か月が無駄になってしまう。
実際に僕は数年前にこの職場にあるシステムを導入したのだが、とても残念なことになっていた。システムはシステムで運用、今までのやり方でも運用する。なぜか二重運用になっていたのだ。
「なぜこんなことになるんだ」
不思議でならなかった。「やめる」という決断をするのはとても勇気がいる。その行為はまるで今までのやり方を否定しているような行為だからだ。決してそんなことはないんだけど。
それを昨年一年間かけて正常な状態にした。システムだけの運用にして従来のやり方は廃止してもらった。それって僕の仕事か?なんて思いながらも「僕じゃなければできない」と自分に言い聞かせ遂行した。
新しいやり方を否定する職場ではない。僕が提案すれば、それを受け入れてくれる。だけども業務面での調整を誰もしないから、自ら進んでいくほどではない。その調整も含め、きっと僕の仕事なのだ。
僕のやり方で仕事がかわっていくのだから、やりがいがある。「アズさんのシステムが導入できれば、我々は変われると思う」なんて言ってくれる人もいるくらいだから、ますますやる気になる。
この機会を逃したら、この職場はもう二度と変わることはできないのではないだろうか。僕自身に関してもこの機会を逃したら、この地で仕事をして、この地で暮らすなんて経験も二度とないだろう。
サラリーマンでも自分のやりたいこと、自分の方向性を自分決めることができる。歯車になどならない。変われるチャンスは自分で作るものだと思う。