ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

ACTION「日本崩壊」を読んでの感想

日本崩壊

この本は日本テレビ報道局が二〇〇八年に報道した五つのできごとをまとめた一冊です。報道やニュースってのはたいていの場合、今起きていることに焦点を当てられますが、この五つのできごとは一年間に渡って追跡したことをシリーズ企画として報道し続けたものです。

 

  • 消費者を欺く食品表示の大ウソ
  • 医療総崩壊が招く医師と患者の不幸
  • 「競争」VS「学び合い」で揺れる教育現場
  • ゴミ分別を嘲笑う闇の構造
  • 北関東連続幼女誘拐殺人事件

 

消費者を欺く食品表示の大ウソ

食品偽装の問題です。発端となったのはミートホープ社の偽装ミンチ事件。その後、「白い恋人」「赤福餅」「船場吉兆」など誰でも知っているような食品でも偽装が発覚しました。今では、なにごともなかったかのように扱われていますね。

 

この本で焦点があてられているのは「関さば」「牛肉」「刺身」「ウナギ」などです。

 

僕は食品を買うときに貼られているシールをみて一応、産地や添加物などを確認しますが、基本的には信用していません。表示方法なんて売り手側の解釈の仕方でどのようにでもなると思っているから。

 

表示しなくてもいい添加物もあるようだし、一定期間だけ日本で育てたら、それで国産表示できる場合もあるようだし。

 

そんなことを気にしていたら買うものはなくなってしまいます。「あまりにも安いものはなにかしらの裏があるのだろう」と思っています。高けりゃ安心ってことでもないんだろうけれど。


医療総崩壊が招く医師と患者の不幸

患者が「たらい回し」にされたあげく、命を失ってしまった問題。それは本当にたらい回しだったのか。

 

医師不足によって生じた「受け入れ不能」という状態。それを「たらい回し」と表現するのはあまりにも悪意がある。

 

次から次へと運ばれてくる患者さんに対し、圧倒的に医師が不足しているのだそうです。

 

人手が足りないというのは医師に限らず、2019年現在はどこでも問題になっていることだと思っている。僕がいる業界もやはりそのような状況です。

 

医師が不足している問題もありますが、患者側の問題もあるようです。軽症なのに個人的な都合で夜間救急にくる患者が増えているとのこと。昼間は仕事があるからとか、なんとなく不安だからとか、そんな理由で夜間救急を利用する人が多く、医者の負担を増やしているのだそうです。

 

「軽症だからと安心していたら実は重症だった」という例もあるようで、このあたりの判断は難しいですが、患者側も配慮すべき点はありそうですね。


「競争」VS「学び合い」で揺れる教育現場

忙しすぎる学校の先生の問題。授業の準備、テストの採点、朝夕の部活動、雑多な事務作業などなど。

 

さらには家庭ですべき躾、教育ができていないままに子どもを学校に入れ、その対応に追われることも多いとか。学級崩壊ですね。授業中に席を立って歩き回ったり、教室内でボール遊びをしたり。

 

一方で競争することをやめた学校もあるようです。犬山方式。全国学力テストには参加せず、いじめがあったら先生全員の話し合いの場を設ける(これを読んで金八先生の職員室の様子を思い浮かべました)

 

犬山方式は功を奏しているようです。僕だったら、やっぱり犬山方式の学校に通いたいかなぁ。


ゴミ分別を嘲笑う闇の構造

ゴミのリサイクルの話です。ゴミの分別ってなかなか面倒ですね。燃えるゴミ、燃えないゴミ、包装プラスチック、 資源ゴミなどなど。ゴミカレンダーをみないと分別することはできないくらいに細かい。

 

そうやって分別されたゴミが実はリサイクルされていないと知ったら・・・。

 

リサイクルのためにお金を払うのは仕方がないことですが、それもきちんと処理されていることが前提。支払ったお金を処理業者が自分の懐に入れてしまったら、それは詐欺です。

 

それも法律に抜け穴があったからのようで、この報道をきっかけにリサイクル事業の法整備が進められたようです。それでも法の網をくぐりぬける業者はいるのでしょう。これはリサイクルに限らず、どの世界にもいる輩。不正を正すのは難しいですね。


北関東連続幼女誘拐殺人事件

以前に「殺人犯はそこにいる」という本を読んだことがありました。その繋がりで本書の存在を知り、読んでみようと思いました。 

 

www.a-s-blog.com

 

「殺人犯はそこにいる」の凝縮版が本書のこの項といった感じでしょうか。まともではない警察の対応、犯人ありきの捜査により冤罪事件を生み出しました。

 

本書が発行されたのが2008年で、この冤罪事件の無罪が確定したのが2010年です。真犯人と思しき人物が特定されているにも関わらず、これらの5つの誘拐殺人事件は未だ解決しておらず。

 

容疑者を間違わなければ、今頃はこれらの事件も解決していたのでしょうか?

 

全般を通して

これらの問題(最後の事件は別として)は、その周辺の関係者にも多分に原因があるのかなと思いました。

 

消費者は安くていいものを求めたがります。スーパーで「少しでも新鮮なものを」と野菜を手に取り、次から次へと品定めする人を見かけます。次に買う人のことも考えようよ?

 

「とりあえず」で病院に行く人もいます。病院が団らんの場になっているなんて日常茶飯事です。病院の待合室で出会い「あら、最近みかけないから具合でも悪いのかと思った」なんて冗談みたいな会話を真面目に話している人もいます。

 

モンスターペアレントの存在なんて今では当たり前なのでしょうか?どうしてすぐに他人のせいにするのでしょうか?わが身を反省することはできないのでしょうか?

 

崩壊に向かわせているのは自分自身なのかもしれないなと感じ、日ごろの自分の言動にはじゅうぶんに注意しようと思いました。