ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

オフシアター歌舞伎「女殺油地獄」の感想

オフシアター歌舞伎

オフシアター歌舞伎ってのは普段は歌舞伎が上演されるようなところではない場所で上演される歌舞伎(ってことだと思います)

 

  • 天王洲アイルの寺田倉庫
  • 歌舞伎町の新宿FACE

 

寺田倉庫での上演はもう終わっています。僕はその最終日に観に行くことができました。歌舞伎町の方は5月22日から5月29日まででございます。

 

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寺田倉庫はコンクリート打ちっぱなしのおしゃれ倉庫。その冷たさと人殺しという冷酷さが妙にマッチしていて、なんともいえない生生しさがございました。

 

演目はというと近松門左衛門作の女殺油地獄。「おんなごろし あぶらのじごく」と読みます。タイトルだけでもオドロオドロしいですね。

 

この演目はわりと上演される演目でしてシネマ歌舞伎にもなっとります。

 

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歌舞伎座などで上演される場合には、リアルに油まみれのグチョグチョ状態になったりもします。今回のオフシアター歌舞伎は客席が間近ということもあるのか、そこまでの演出はありませんでしたが、僕には油まみれのふたりの姿が目に浮かびました。

 

ストーリーを簡単にいうと、主人公の男は遊ぶ金欲しさに油屋の女性を殺してしまうんですね。強盗殺人です。

 

そんな男ですから、両親からは勘当されてしまいます。それでも子どもというのはかわいいもの。男の親は密かに油屋の女性のところにお金をもっていって息子に渡して欲しいといいます。

 

その会話の一部始終を男は外で聞いています。その男を演じているのが獅童さんです。獅童さんは僕の目の前、手を伸ばせば届く位置にいます。

 

手には小道具を持っていて、それをイジイジしながら聞いているんですけどね。その指先の演技を見ているだけでジンときちゃった。指先だけで心情って伝わるんですね。観客のほとんどの人からはその演技はみえていなかったと思います。

 

おしろいのニオイとか、目の動きとか、飛び散る唾とか、流れる汗とか。間近で観たからこそ感じられたことが多くありました。

 

歌舞伎は多くみてきたほうだと思いますけど、はじめてに近い体験と感動でした。オフシアター歌舞伎は是非ともシリーズ化してもらいたいです。

 

ちなみに上演時間は予定されていたものよりは長めで11:30-13:25くらいでした。