ミニマム コラム

執着せず。最低限のモノで。日常の共感。

室長解任

解任

この時期にこの職場のトップである室長の異動が発表された。新室長は現在のトップ2が兼任する。

 

実質の解任だと僕は思っている。一連の事件ともいえるできごとの責任をとっての解任。無責任に解任することはせずに、後始末をさせてからの解任ということだろう。

 

「なぜこの時期に?」と思う人はたくさんいたようだ。多くの人事異動は年度替わりの春に行われる。その人事異動に埋もれさせないようにこの時期の異動となったのだろう。普通の人事異動じゃないんですよという意味を込めて。

 

僕はこの室長に呼ばれて今の職場に異動になった。

 

「もうさ、ぶっちゃけいうけどさ、アズさん、こっちきてくれない?」

 

異動して欲しい気持ちは前々から伝わってきていた。でも、自分から異動させてくださいなんてことは言えないので、なんとなく話がぼんやりとしたままであった。そんなぼんやりとした状況に業を煮やしての室長の言葉だった。

 

この職場には僕がやるべき仕事は山のようにあると思っていたので快く承諾した。そして今日までの約一年。自分の想定を上回る仕事ができた。

 

僕という存在も認知されはじめ、職場にも馴染んできた矢先の室長の解任。でも、僕には痛くもかゆくもない。むしろ、いいタイミングだと思った。

 

なんていうと、飼い主に噛みつく犬のように思われるかもしれないが、彼の室長としての役割に僕は不満を感じるようになっていたのだ。

 

僕と室長はもともと別の地で仕事をしていた。そしてこの地にやってきた。あちらとこちらの文化の違いを存分に感じていた。はっきりいってしまえば、この地はあらゆることのレベルが低いのだ。

 

それをどうにかしたいという思いがふたりの共通認識だった。しかし、彼はこの地に対する不満や文句をいうばかりで室長として自ら行動を起こすことがなかった。唯一あるとすれば、この地に僕を呼んだことくらいだ(自負)

 

「細かい報告をされてもわからないからさ、いいか悪いかだけいってよ」

 

毎週行われるミーティングで彼はこういった。悪い報告をすれば頭ごなしにダメだといわれ、そのやり方を禁止する。代替え案はもちろんない。現場は身動きがとれなくなる。現場の不満は募っていった。

 

この職場のビジョンを明確にしてくださいとお願いしても「それはみなさんから多くの意見を募りたい」というばかり。いやいや、そうじゃないだろ。ある程度の方向性はあなたが示さなきゃダメだろう?

 

室長は仕事をする上で邪魔になった。もとから仕組まれたこのタイミングでの解任なのか。誰かの告げ口による解任なのか。

 

残念だが、彼は役割を終えた。いや、そもそも室長なんて単なる天下りのポジションなのかもしれない。